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Harry Pehkonen

619: わんにゃん@名無しさん 2015/11/10(火) 15:54:09.26 ID:V0bITWzY.net
小学校の頃拾ってきた黒猫の話でもしようか

今からもう4半世紀前になるかな。
ポリバケツに入れられ同級生に虐待されていた子猫を
拾ってきた日があった。
水に浸かってガタガタ震えていた子猫を今から爆竹を
使って爆破するといった同級生に、とび蹴りかまして
その猫を家に連れて帰った。

家に着くと親に見つからないよう、自分の部屋に駆け込み
体操服に包んだ子猫を座布団の上に移し替えたが、
その子猫は弱々しいながらも俺に敵意をむき出し
思いっきり引っかいて抵抗してきた。
手の甲に痛みが走り血が流れたが、それと同時に
自分の目から涙がでてきて、
「ごめんなぁ。ごめんなぁ」とわんわん泣いたのを
今でもうっすらと残る5cm位の傷を見ると思い出す。

620: 615 2015/11/10(火) 15:54:56.97 ID:V0bITWzY.net
この子猫は本当に懐かなかった。
しかもこの猫のおかげで小学校はちっとも楽しくなかった。
けり飛ばした同級生の兄弟からボコボコにされたし、
俺の言い分なんて当時の大人は誰も聞いてくれなかった。
まぁ今では奴も大人になってて、酒屋の大将やってて
酒配達に来た時に何度か「あの時は悪ィ」って謝ってたっけ。
ビール1ケースで簡便してやったよ。

んでこの子猫なんだが、人が嫌いなんだよな。
とりあえず誰にも近づかない。部屋の隅っこにいる。
どうにかして友達になりたかったから、とりあえず名前を付けた。
「トム」って。当時は猫っつたら「トム&ジェリー」だもんな。
我ながら安直だわ。

621: 615 2015/11/10(火) 15:59:01.90 ID:V0bITWzY.net
でも親は大反対したね。やれノミが付く、やれ臭くなるだの。
または捨てて来い。保健所に引き取ってもらえ。
こん時も涙が出た。
「こいつは捨てられ、人間にひどい目に合わされ、死にそうになり
今ようやく生きている。俺が見捨てたら本当に死んでしまう」
たしかこんな事を目を泣きながら力説したっけ。
あんまり俺が言うことを聞かないものだから、親父は怒って
「それなら好きにせぇ!」ってドアをバターン!と閉めて出て行ったな。
その何ヶ月か後には「トムちゃんですかーそうですかー」とか、
猫目線に寝転んで言ってるくせに。
俺が後ろで見てるのに気がついたら顔真っ赤にしてたくせに。
親父の生前の写真みてたらそん時の様子思い出して思わず吹いたよ。

622: 615 2015/11/10(火) 16:00:15.37 ID:V0bITWzY.net
結局トムは、庭の桜の木に乗って自分で降りれなくなった日を境に
なんだか懐くようになった。
降りられなくて怖かったんだろうな。ニャーニャー泣いてうるせーの。
脚立引っ張り出して木から下ろしてやったら爪出して飛びついてきたよ。
その日から一緒に寝るようになったなぁ。

そっから色々あった。
気がつけばトムはいつも俺のそばにいたっけ。
中学の頃親父が亡くなって部屋でボロボロ泣いてた時も、
すりよって心配そうにニャーニャー言ってた。
彼女に振られて落ち込んでいた時も、受験失敗してへこんだ時も
すりすりしてニャーニャー言ってた。
でもハタチになって連れてきた後に嫁さんになる人には、
思いっきり敵意むき出しにして威嚇したっけ。

大学行くことになって実家を離れるとき、
垣根越しに見た家の桜の木にトムが上って見送りしてんの。
お前その時はニャーニャー言わないのな。なんだよ全く。
この時気がつけば良かったな。そしたらもう少し一緒にいる
努力をしたよ。

623: 615 2015/11/10(火) 16:01:48.33 ID:V0bITWzY.net
それから10ヶ月ほどしたら、実家から電話がかかってきた。
まだ寒い日だったなぁ。電話聞いて電車に飛び乗り汗だくで家に帰ったよ。
「トム!」呼んでも出てこないの。玄関に。そこはニャーニャーだろ。
2階の俺の部屋に行くと、俺愛用の座布団の上にいるのな。
聞けば俺が家を出て行って、ほとんどこの部屋と座布団の上にいるらしい。
出て行く時、お前木の上に登る元気あったじゃん。
「トム!」呼んでも反応しない。
「トム!」「トム!」連呼するとかすかに「ニャー」

目も開いて無いみたいだった。
毛もボサボサで、すごく痩せてて、背中をさすってあげたら
こいつこんなに小さかったっけ?って思うくらい。
また涙がボロボロでたよ。
母さんが動物病院にも連れていったけど、高齢なんでしょうがない
的な事を言われたみたいだった。
もう前みたいに歩く事はおろか、自分で動く事もできないと。
その日は覚悟してトムのそばに布団を敷いて寝た。

624: 615 2015/11/10(火) 16:14:33.68 ID:V0bITWzY.net
翌朝、目を覚ますと
動けるはずのないトムが、俺の横まで歩いてきたらしく
隣で丸くなって息を引き取っていた。
もう泣けない。泣いてはいけない。そんな気がした。
きっと最後に会えるまで、ずっと体力を温存してたんだろうなぁ。

冷たくなったトムを毛布でそっと包むと
そのまま庭の桜の木の下に埋めてあげた。
こいつはどんな気持ちでずっと俺を待ってたのかな。
俺と一緒で幸せだったかな。

その桜は今でも実家にある。
毎年綺麗な花を咲かせるが、近所のどの桜の木より早く咲く。
「あんたが帰ってくるのを待ちきれないのかもしれないね。トムは」
と母さんはそう言うがどうなんだろう。

来年も春には実家に帰る。
子供も高校生と中学生になった。
俺もいい感じに年をとりもうすぐ親父と同じ年齢だ。
あの時からは色々なものが変わった。
環境も街並みも自分自身も。
でもトムの桜だけは変わらない。

627: わんにゃん@名無しさん 2015/11/10(火) 20:34:43.92 ID:pPFy1Uox.net
。。・゚・(ノД`)・゚・。。

628: わんにゃん@名無しさん 2015/11/10(火) 20:47:47.10 ID:DUodXf2G.net
涙。。・゚・(ノД`)・゚・。。

629: わんにゃん@名無しさん 2015/11/10(火) 21:00:43.53 ID:hPtfDgCZ.net
トム君は今頃虹の橋のたもとで気長にID:V0bITWzYを待ってるはず。



引用元:○●白黒猫 黒白猫 8匹目●○
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